ふなっしーおばあさんが教えてくれたこと

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こんにちは。ちゃはちです。

他愛もないことを書きたくなる時もあります。

ふなっしーおばあさん

息子が生まれて一ヶ月が経過し、少しずつ外に連れ出せるようになってきた頃のことなのでちょうど半年ほど前の出来事。

仕事から帰宅した僕に開口一番妻が言った。

「今日電車で知らないおばあさんから、これもらっちゃった。」

妻が見せてくれたのは体長10センチメートルほどの黄色い物体。楕円のシンプルな身体に似つかわしくない、イヤにメルヘンな2つの目玉が上目づかいで僕を見つめていた。

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「ふなっしーじゃん。」

「そう。電車で乗り合わせたおばあさんに話しかけられて、最後に『これあげるわ』って言われて。どうして良いか分からなかったし、要りませんとも言えなかったからとりあえずもらって来ちゃった。」

おばあさんが言うには、ふなっしーはゲーセンで調達して、常にいくつか持ち歩いているそうだ。そして小さい子供を見かけると、みんなにふなっしー人形をあげているのだという。

おばあさんがゲーセンに入り浸っている姿はあまりイメージが付かず、それゆえちょっとした怖さを感じはしたが、まぁ年をとって子供の喜ぶ顔を見ることが生きがい、みたいな感じなのかなと、そんな風に納得した。

「でもこの子まだ一ヶ月だし、ふなっしーを見ても無反応なんだよね…。」

妻は余分なものを持ちたがらないタイプで、タダでもらえるものでも「すぐに使わない」「場所をとる」なら決して欲しがらない。

「今ならお値段据え置きでもう一つプレゼント!!」みたいなテレビショッピングお得意の販促戦略も「いらない。だったら安くしろ。」と言うタイプだ。

僕も昔はそんな妻に「いや、企業の販売促進っていうのはそういうものじゃないんだよ」といちいち反論していたが、そんな答えは何の解決も生まないことは長年の経験で学習している。

「ホントそうだよね。消費者舐めんじゃねーよ。ク○企業が。早く潰れちまえ!」これが模範解答。

「でも捨てるのもなぁ。。。」

そんな妻でもさすがに老婆の親切心を無駄にするのは忍びないらしく、とりあえずベビーベッドの柵にぶら下げておくことにした。

ぶら下げたふなっしーをよく見ると、背中に「PUSH」と書かれている。

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押して見ると…

「がーんばるナッシー‼︎」

聞き覚えのある、ちょっと耳障りで甲高い声が室内にこだました。

ふなっしー人気を理解できなかった僕

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数年前、ふなっしーが突如人気者となりバラエティ番組に出まくっていた頃、僕は全く納得がいっていなかった。

「なぜこんなものが人気なのか?」

はっきり言ってビジュアル的には全く可愛くなかったし、梨の妖精というわりに動きも気持ち悪い。

そもそも梨はこんなに黄色く無い。これはグレープフルーツの色だ。

梨汁は「しゅわっ」と出るもので決して「ブシャー」とは出ない。ブシャーと出るのはやっぱりグレープフルーツだ。

声や喋り方はほぼさかなクンじゃないか。二番煎じだよ。青果物のさかなクン。うん、破綻してる。

わからない。本当にわからない。この人気は一体何なのだ。

そうか。きっと大手広告代理店が一枚噛んでるんだ。うまいこと人気があるように見せかけて、バカな大衆が流行に乗らんと後追いでついてきているだけだ。

ステマってヤツだ。ハハッ、みんな騙されてんだ。きっと小さな子供達だって大人に感化されてはしゃいでるだけだろう。

本当に世の中っていうのは、陳腐な偽物に踊らされるヤツの多いこと。皆もっと本物の価値に気づこうよ。

息子の反応が。。。

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とにかくそんな風に思っていたので、ベッドにぶら下げていたふなっしー人形もおばあさんへの義理でつけているだけ。当然何の期待もしていなかった。

実際その後もしばらく息子がふなっしーに興味を持つことはなかったし、それは僕達夫婦にとってもただの景色になっていた。

しかし、4ヶ月目頃から変化が現れ始める。

息子のオムツを替えていると、しきりに首をねじってある方向を見ようとしているのだ。

視線の先にあるのは「ふなっしー」だ。

「あれ、気になるのかな?まぁ色も派手だし、『何だあれ、気持ち悪いな』みたいな感じかな」

最初はそう思っていた。

しかし、時が経てば経つほど彼への興味が高まって行くのが分かった。

最終的にはふなっしーを見つけると何とか触ろうと手を伸ばし、声を出して嬉しそうに笑うようになったのだ。

他にも息子のお気に入りはいくつかあるが、その中でもふなっしーへの反応は突出している。目の前に現れただけで満面の笑みを浮かべる。

「ウソだろ?」

やっぱり僕は信じられなかった。何であんなに不気味なものを好んでるんだ?

試しにふなっしーを手に取り、息子に向かって出来る限り甲高い声で

「がーんばるナッシー‼︎」

と言ってみた。

すると息子はケタケタと大興奮の様子で笑い出したのだ。まるで箸が転んでもおかしい年頃の女の子みたいに。あっけに取られる僕を尻目にもう笑いが止まらない。

確信した。息子はふなっしーに完全に魅了されている。理屈は分からないけど、これは現実だ。認めざるを得ない。

ふなっしーおばあさんが教えてくれたこと

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世の中の流行や他人の趣味嗜好を全く理解できないことは誰でもあると思う。

そんな時に「この程度のもので喜ぶなんてレベルが低いな」と、他人の感性を見下すことで「理解できないことを理解」しようとすることがある。

「自分が面白みを理解できないものはニセモノ、自分が面白いと思うものは本物」

僕自身よく陥りがちな思考だ。

逆に自分が面白いと思っていることがなかなか世間から認められない場合も、世間の感性の低さにその理由を求めたがったりする。

でも、もうやめよう。

ものの価値に普遍性などない。本物もニセモノもない。あるのはそれに価値を見出した人がいるかどうかだけだ。

ふなっしーに本物の価値があるかどうかなんてことはどうでもよくて、大事なのは多くの人がふなっしーに魅了されたという事実だけ。これが全てだ。

きっかけは何だっていい。ふなっしーがたくさんの人に喜びを与えたという事実だけが尊いのだ。現に目の前の息子がこんなに喜んでいるではないか。 なんて素晴らしいんだ。

それから子供の力というのは偉大だ。

息子があまりに喜ぶから、僕もふなっしーが可愛く思えてきた。きっと本来の梨の色はあの黄色なんだ。僕の梨を見る目がくすんでるんだ。

モノマネもだいぶ上手くなった。

息子のために上達したモノマネは、エド・はるみ、泉アツノ、ガラピコに次いで4つ目。

どんどん上達してくる。自分が恐ろしいほどだ。こんな才能があったなんて。

その才能を腐らせまいと、先日ショッピングモールにあるキャラクターショップで、ふなっしーのパペットを新たに購入した。

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これでよりリアルにふなっしーを演じることが出来る。よし、もっと頑張って更にレベルアップをしよう。

そんな風に思うの今日この頃である。

彼女の真意はともかく、結果的にふなっしーおばあさんには色々なことを思い知らされたみたいだ。感謝してます。ありがとナッシー。

そんな気持ちで久しぶりにあの「PUSH」ボタンを押してみた。

「がーんばるナッシー‼︎」

聞き覚えのある優しく甲高い声が室内にこだまする。

そして天井から跳ね返ったその声は、ベッドサイドに立っていた僕達夫婦の心にふわりと突き刺さった気がした。

もしかしたらこのエールも、ふなっしーおばあさんが伝えたかったことの1つだったのかな。

そろそろ梨が美味しい季節ですよ。

〜完〜

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