こんにちは。ちゃはちです。
共働きで生計を維持している場合にはどちらかに「万が一」があった時、家計に与えるダメージがより大きくなります。
特に子供がまだ独り立ちしていない時にそんなことになったら…。考えたくはないけど、備えはしておかないといけません。
もちろん生命保険の検討も大切ですが、まず知っておきたいのは国の制度である「公的遺族年金」のこと。
ということで、今回は我が家のような共働き子育て夫婦のどちらかに万が一があった場合の遺族年金について考えてみます。
ちゃはち
妻
ちゃはち
また、2018年9月現在の制度に基づいた記述となります。今後法改正等が行われた場合には本記事の内容が適切でなくなる可能性もある点にご留意ください。
遺族基礎年金
共働き子育て夫婦のどちらかが亡くなってしまった場合、まず受給できる可能性があるのが「遺族基礎年金」です。
遺族基礎年金は老後にもらえるいわゆる国民年金(老齢基礎年金)に相当する遺族年金で「子育て年金」とも言われています。
妻
ちゃはち
遺族基礎年金が受給できるのは…
共働き子育て夫婦に万が一があった時、遺族基礎年金の給付を受けられるのは「ざっくり」言うと以下の要件を全て満たした時です。
- 亡くなった配偶者が過去にちゃんと年金を納めている
- 18歳未満(18歳になって最初の3月末が到来するまで)の子供がいる
- 亡くなった配偶者と生計維持関係にあった
ちゃはち
亡くなった配偶者が過去にちゃんと年金を納めている
この場合の「ちゃんと」とは、無くなった月の前々月以前の国民年金加入期間のうち、3分の2以上の期間、保険料(年金)を漏れなく納付しているということです。また、免除期間がある場合にはその期間は納付済みとみなします。
ただし平成38年の3月までは3分の2を満たしていなくても下記の特例があります。
妻
ちゃはち
18歳未満(18歳になって最初の3月末が到来するまで)の子供がいる
ちゃはち
亡くなった配偶者と生計維持関係にあった
配偶者が無くなったことで経済的な支障があるなら支給するよ、ということです。「生計維持関係」は下記の2つを満たした時に認められます。
- 生計を同一にしている(住民票上同一世帯に属している。またはやむを得ない単身赴任などで住所が異なっていても消費生活上の家計を一つにしていればOK。)
- 給付を受ける人の収入が一定額以下である(前年の収入が年額850万円未満または所得が655万5千円未満)
妻
ちゃはち
例えば夫婦の年収がそれぞれ同額だったとしても、基準以下の収入または所得であれば、生計維持関係は双方に認められ、夫婦のどちらが亡くなってもこの要件はクリアできます。
給与収入しかない会社員の場合は年末にもらう「源泉徴収票」をみればその年の「収入」と「所得」がすぐ分かります。
①の「支払金額」の数字が「収入」、②の「給与所得控除後の金額」の数字が「所得」に相当します。
妻
ちゃはち
遺族基礎年金の給付金額
ここまでで、一般的な共働き子育て夫婦であれば夫婦のどちらに万が一があっても、子供が18歳(の3月末)になるまでは残された配偶者に遺族基礎年金が支給される可能性が高いことが分かりました。
妻
ちゃはち
妻
ちゃはち
遺族基礎年金の支給額は子供の数に応じて決まります。
子の加算 第1子・第2子 各 224,300円
第3子以降 各 74,800円
つまり子供が1人であれば年額1,003,600円。2人なら1,227,900円。3人なら1,302,700円の給付が受けられます。
妻
ちゃはち
遺族厚生年金
会社員として厚生年金に加入していた実績があれば、遺族基礎年金と併せて「遺族厚生年金」の支給を受けられる可能性もあります。
遺族厚生年金が受給できるのは…
まずは遺族厚生年金の支給要件をざっくりと。
下記を全て満たした場合、一定の親族に対して遺族厚生年金が支給される可能性があります。
- 亡くなった人が過去にちゃんと年金を納めている(死亡月の前々月以前の納付すべき期間の3分の2以上)※遺族基礎年金と同様の特例あり
- 亡くなった人が亡くなった時点で厚生年金の被保険者であった。
- 亡くなった人と生計維持関係にあった
妻
ちゃはち
遺族厚生年金には夫婦格差がある
遺族基礎年金は夫が亡くなっても妻が亡くなっても、支給要件と金額に差はありませんでしたが、遺族厚生年金は亡くなったのが夫か妻かでその内容に大きな差があります。
遺族厚生年金の支給対象親族
ちゃはち
- 妻、子、孫(子、孫は18歳到達年度の3月末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)、55歳以上の夫(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)
- 父母、祖父母(支給開始は60歳から)
※上記のうち優先順位が最上位の一人に対して支給されます。最も優先順位が高いのは妻・子・夫です。
妻
妻は受給について年齢の制限が無いのに対して、夫は妻の死亡時に55歳以上でなければいけません。
また、55歳以上であっても実際に給付が受けられるのは60歳になってからです。(ただし18歳未満の子供がいて、遺族基礎年金を受給している間は合わせて遺族厚生年金を受給できます。)
仮に子供を大学まで通わせようとするならば、最もお金のかかる18歳以降に一切の遺族年金が無くなる可能性があるのです。
妻
ちゃはち
しかも妻には夫よりさらに有利な制度が用意されています。それが中高齢寡婦加算です。
中高齢寡婦加算
妻
ちゃはち
また、夫死亡時に妻が40歳以上65歳未満であれば、子供(18歳未満)がいない場合でも、支給されます。
遺族厚生年金の給付金額
妻
ちゃはち
妻
ちゃはち
と
(平均標準報酬月額×7.5÷1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬月額×5.769÷1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数)×0.999×3/4
のうちいずれか大きい金額が支給されます。
妻
遺族厚生年金は亡くなった配偶者の厚生年金への加入状況(期間や納めていた金額)に応じて増えたり減ったりするので計算がとても複雑なのです。
そこで役に立つのが「ねんきん定期便」です。
ちゃはち
年金定期便の下半分「これまでの加入実績に応じた年金額」の赤枠で囲ってある箇所が現時点での老齢厚生年金(老後にもらえるいわゆる厚生年金)の額(年額)です。遺族厚生年金はこの金額を4分の3にした金額と概算できます。
また、死亡時に厚生年金の加入期間が25年未満の場合には、25年間加入していたとみなして年金額を計算してくれる特例があります。
ちゃはち
加入期間が短いほど(≒若いほど)年金額が少なくなってしまうので、最低25年分は保障してあげるよ!ということですよ。
例:加入期間200月で実績に応じた年金額が40万円の場合
40万円÷200月×300月×3/4=45万円
※50歳以上の人に届く年金定期便には現時点の年金額ではなく、将来の見込み額が記載されています。
シミュレーションしてみよう
てはここからは、いくつかのパターンごとに、共働き子育て夫婦がどの遺族年金を受給できるのかシミュレーションしてみます。
尚いずれの場合においても過去の納付実績に問題は無く、子は障害等級1級または2級に該当せず、また配偶者同士には生計維持関係が認められるものとします。
1.夫が亡くなった場合
まずは夫が亡くなるパターンから。
1-1.会社員の妻45歳、子15歳の時に会社員の夫が亡くなった場合
遺族基礎年金:夫死去時に子供が18歳未満なので、遺族基礎年金の給付があります。
遺族厚生年金:妻は遺族厚生年金の受給に年齢要件がないため、同時に遺族厚生年金も受給できます。
中高齢寡婦加算:妻48歳の時に遺族基礎年金が停止するため、その後65歳まで中高齢寡婦加算が代替として遺族厚生年金に加算されます。
1-2.会社員の妻50歳、子20歳の時に会社員の夫が亡くなった場合
遺族基礎年金:夫が亡くなった時点で子供はもう18歳以上になっているため遺族基礎年金の支給はありません。
遺族厚生年金:妻には年齢制限がありませんので支給されます。
中高齢寡婦加算:夫死亡時に妻は45歳以上なので、中高齢寡婦加算が65歳まで、遺族厚生年金に加算されます。
2.妻が無くなった場合
では、次に妻が亡くなった場合です。
2-1.会社員の夫45歳、子15歳の時に会社員の妻が亡くなった場合
遺族基礎年金:妻が亡くなった時点で子供が18歳未満のため遺族基礎年金の支給対象となります。
遺族厚生年金:妻が亡くなった時に夫は55歳未満ですが、遺族基礎年金が支給されている間(子供が18歳の3月末に到達するまでの間)のみ、遺族厚生年金の支給があります。
中高齢寡婦加算:夫には中高齢寡婦加算はありません。
このケースでは子供が18歳(の3月末)に到達するとその後一切の遺族年金がストップしてしまいます。
2-2.会社員の夫50歳、子20歳の時に会社員の妻が亡くなった場合
遺族基礎年金:妻が亡くなった時点で子供が18歳以上のため遺族基礎年金の支給はありません。
遺族厚生年金:妻が亡くなった時に夫は55歳未満なので、遺族厚生年金の支給もありません。
中高齢寡婦加算:夫には中高齢寡婦加算はありません。
このケースでは、初めから一切の遺族年金の支給が無いことになります…。
2-3.会社員の夫55歳、子15歳の時に会社員の妻が亡くなった場合
遺族基礎年金:妻が亡くなった時点で子供が18歳未満のため遺族基礎年金の支給対象となります。
遺族厚生年金:遺族基礎年金が支給されている間(子供が18歳の3月末に到達するまでの間)は年齢に関わらず遺族厚生年金の支給があります。また、妻が亡くなった時に夫は55歳以上だったので、その後夫が60歳になると遺族厚生年金が復活します。
中高齢寡婦加算:夫には中高齢寡婦加算はありません。
2-4.会社員の夫55歳、子20歳の時に会社員の妻が亡くなった場合
遺族基礎年金:妻が亡くなった時点で子供が18歳以上のため遺族基礎年金の支給はありません。
遺族厚生年金:妻が亡くなった時に夫は55歳以上なので、夫が60歳になってから妻の遺族厚生年金が支給されます。
中高齢寡婦加算:夫には中高齢寡婦加算はありません。
ただし、遺族厚生年金の額が、自分の老齢厚生年金よりも大きい場合には、その差額が自分の老齢厚生年金に加算されて支給されます。
つまり、遺族厚生年金>老齢厚生年金の場合には遺族厚生年金の額がずっと支給されるということです。
まとめ
では最後にここまでのポイントをまとめてみます。
- 遺族基礎年金の支給があるのは子供が18歳(の3月末)まで。
- 遺族基礎年金は夫でも妻でも支給要件に違いがないが、遺族厚生年金を夫が受ける場合には年齢による制限がある。
- 妻には高齢寡婦加算が支給される可能性もあるが夫には無い。
- 遺族厚生年金の計算は複雑だが、50歳未満であれば年金定期便を見ることで現時点の遺族基礎年金がいくらになるか簡単に概算することができる。
新しい家族が増える時に生命保険の加入や見直しをすることは重要なことだと思います。
しかし、もし夫婦のどちらかに万が一があった時、家計の支えになってくれるのは生命保険だけではありません。
もしもの時、遺族年金がどれくらい受け取れるのかを考えておかないと、無駄な保険料を払ったり、必要な保障が足りていなかったりすることになるかもしれません。
特に共働きで夫婦が同じくらいの収入を得ている場合には、夫よりも妻の保険金額に注意を払う必要があるかも知れませんね。
ちゃはち
妻
とは言え何より大切なのは、夫婦の「健康」。食生活に気をつけたり、定期的な健診を受けたり、まずは「万が一」が起こらないように出来るだけのことをしたいものです。
実際妻に先立たれたら僕は寂しくて死んでしまうと思うので…。
でも妻がどう思っているのかは知りません。聞いても答えてくれません。
では、また。
コメントを残す